2008'02.15.Fri
なんとなく出そうなので(まだ絶賛原稿中ですが!笑)最初のほうの本文抜粋を載せておきます!
下の、全国大会の詳細は随時更新しています。さっきちょこっとだけないよう変更してきましたが、無料配布は確実にご用意できました!(製本はまだだけど)(…)A5サイズ、16Pになります。
わかりやすいようにテーブルに置いておけたらなーとは思っていますが、もし置いてなかったら「無料配布ください!」とお声掛けくださいね。
明日またもう一度ブログ更新に来ます。そのときにコピ本の確定情報をお知らせできるかと思います;
下の、全国大会の詳細は随時更新しています。さっきちょこっとだけないよう変更してきましたが、無料配布は確実にご用意できました!(製本はまだだけど)(…)A5サイズ、16Pになります。
わかりやすいようにテーブルに置いておけたらなーとは思っていますが、もし置いてなかったら「無料配布ください!」とお声掛けくださいね。
明日またもう一度ブログ更新に来ます。そのときにコピ本の確定情報をお知らせできるかと思います;
*-*-*-*
ブラック・リベリオンと呼ばれたエリア11での騒動は、ブリタニアに何の影響も齎さなかった。……表向きは、そうなっていた。
だが本当に何の影響もなかったのかといえば、それは嘘になる。
枢木スザクという人物が、ここブリタニア本国にいること。そしてイレヴンと呼ばれ区別されるはずの彼が、皇帝直属の騎士団であるナイト・オブ・ラウンズに抜擢されたこと。今までに有り得なかったその起用は、間違いなくあの騒動がその一端だった。
ブリタニア皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアは力ある者を厚遇し、力なき者を差別する――。それは今までの皇帝演説からもわかることだったが、それが顕著に表れた事柄でもあった。
枢木スザクはあのエリア11の混乱をたった一機のKMFで治めた。総督であった第二皇女コーネリアを助け、反旗を翻した黒の騎士団――それを統率していたゼロを撃つというその手で。第七世代KMFランスロットで戦場を駆ける彼は、ほかのKMFを寄せ付けなかった。スピード、パワー、動きの的確さ、繊細さ――どれをとっても、ランスロットと枢木スザクに勝る人物がいなかったのである。
今のところ、彼とランスロットに土をつけた人物はいない。ナイト・オブ・ラウンズの面々なら……と言われているが、ラウンズ同士の決闘は禁止されている。いや、正確には禁止されているのではない。ラウンズの面々が本気でぶつかったら、宮ひとつ――下手をしたら街ひとつなくなってしまうかもしれない。そんな危惧ゆえの、本人たちの自重からくる制限だと言う方が正しい。
弱肉強食。まさにそのままの世界だ。実力だけが物を言い、力なき者は谷底へ蹴落とされる。ラウンズの中でも最強を誇るナイト・オブ・ワンを目指し、誰もが腕を磨き虎視眈々とその地位を狙っている。
そして、枢木スザクも例外ではなかった。彼もまた、ナイト・オブ・ワンを目指し、その手を血に染めている。
ブリタニアに尽くすのは、失ってしまった、喪われてしまった心優しい姫の想いに酬いるため。ブリタニアを内部から変える……そんな甘い思想は、もう持っていない。だが、その希望を捨て、すべてを諦めた訳ではない。自分の行動が巡り巡って内部改革の切欠になればいい。現にブリタニアは変わりつつある。スザクをナイト・オブ・ラウンズとして受け入れ、そしてスザクの傍らに『彼女』を置いたことで。
だから今は――。
「……イエス、マイ・マジェスティ」
皇帝に膝をつき、スザクはその命に従う。
たとえそれが、誰かを欺く事になったとしても。
*
「ねえルルちゃん、次はこんな祭りにしようと思うんだけどど~お?」
アッシュフォード学園、生徒会室。黙々と目の前の書類に向かっているルルーシュの横――テーブルの上に行儀悪く足を組んで座り、ミレイが一枚の紙を差し出してきた。
目の前に出されたために見ないわけにもいかず、ルルーシュはそれをちらりと見遣る。紙いっぱいに書かれているのはお菓子のレシピだろうか。小麦粉、生クリーム、砂糖、……エトセトラ。だがそこに書き加えられた文字が何やら不穏だ。……パイ投げならぬケーキ投げ? ってそれはもしかして、いやもしかしなくてもアレか。
「却下です」
簡素な一言でダメ出しをすると、ミレイは口を尖らせる。
「なんでよー。いいじゃない、パイ投げ。ってかケーキ投げ。一度やってみたかったの」
「食べ物を粗末にしてまでする企画じゃないでしょう。だいたい、そんなことをしたら清掃の代金だって馬鹿にならない」
「下に落とさないでキャッチするように! って決めておくとか」
「普通投げられたら避けるでしょう。じゃなきゃ服が汚れる」
「水着に決まってるじゃな~い。もしくは体操着? どっちが萌える?」
「……妙な漢字に聞こえましたが俺はどっちも嫌です」
「なによぅ、ルルーシュ。あんたクリームだらけになるのがそんなに嫌なわけ? 運動神経ないもんねぇ」
「……。俺の運動神経は人並みです人聞きの悪いこと言わないで下さい。俺が嫌なのは後処理と生徒会予算の増大です」
「ふ~ん?」
ミレイの訝しげに細められた瞳がルルーシュを見つめてくる。はあ~、と大きなため息をつくと、ルルーシュは仕方なくペンをテーブルに置いた。
「その美貌が生クリームだらけになってもいいんですか。もったいない」
もったいない、はもちろん生クリームが、の意味だった。だがミレイの美貌が生クリームで損なわれてしまうのがもったいない……と思わせるような口ぶりと微笑でそう告げる。滅多に言わない褒め言葉にミレイが食いついてくれるのを祈っていたのだが、いかんせん相手が悪かった。
「あら大歓迎よ! クリームだらけになったらルルちゃん舐めてくれる?」
「…………」
ダメだこの人には何を言っても聞かない。
「そんなことに気を回すより、今月末の試験に集中したほうがいいんじゃないですか。また留年しますよ」
ルルーシュが呆れも込めそう言うと、ミレイは更に口を尖らせたようだった。
「ずるいわよね。どうしてあんなにサボって好き勝手してたルルーシュが留年しないで何で私だけ留年なのよ。あー差別ー」
「俺はやることはちゃんとやってましたので。というか、卒業試験を受けなかった会長が悪いんだと思いますが」
「だって仕方ないじゃない。ごたごたしてたんだしさー……」
ミレイが遠くを見るしぐさをする。
確かに、そうだった。ミレイが卒業試験を控えていたあの頃、黒の騎士団と全国のレジスタンスたちが一斉蜂起したあの事件が起こり、婚約者であるロイドと彼女は何だかもめていた。
ルルーシュは彼女とあの婚約者の間に何があったのか知らない。知る権利もないので聞いたりもしない。ただ、それに重なってニーナが本国に戻ってしまったり、カレンが行方不明になったり、エリア11自体も総督が変わり体制が変わり……とにかく彼女だけでなく学園全体が慌しかった。
彼女は卒業試験を受けなかったのではなく、受けられなかったのだ。
「……すみません。わかってます」
呟くと、ミレイは静かに視線をルルーシュに移し、笑みをこぼした。
「うん、じゃあ、お祭り決定ってことで」
「それとこれとは!」
「だーめーでーすー。っていうかさー、実はもうロロに買出し頼んじゃってるんだよねー」
「はあ!?」
突然弟の名前が出て、ルルーシュは目を見開いた。
「まさか一人で……」
「まっさかあ。リヴァルもくっつけてあげたわよ。最近ルルーシュがロロを連れてチェスに行くから、リヴァルの奴しょげちゃっててね。だからロロと買い物ーって言ったらやたらはりきってたわ」
あはは、と笑うミレイに、ルルーシュは大きなため息をつく。
「……それは、ロロが行きたいって言うからですよ。あいつもバイク使っていいって言ってたし」
「でもリヴァルは寂しかったのよ。ルルーシュが構ってあげないから」
「構って、って。犬ですか」
ふふ、と笑ったその後で、ミレイがふと声音を落とした。
「犬かぁ……。犬といえば、スザク、今頃何やってんのかしらね……」
「犬であいつを連想するのはどうかと思いますが。…………きっと、戦ってますよ」
ルルーシュの答えに、ミレイは頷かなかった。けれど否定もしなかった。
スザクはきっと、戦っている。それは間違いない。
ブリタニアという国家と。国是と。そして己の位置を確立するため、各地で戦い続けている。その身を危険にさらして。
ブラック・リベリオンと呼ばれたエリア11での騒動は、ブリタニアに何の影響も齎さなかった。……表向きは、そうなっていた。
だが本当に何の影響もなかったのかといえば、それは嘘になる。
枢木スザクという人物が、ここブリタニア本国にいること。そしてイレヴンと呼ばれ区別されるはずの彼が、皇帝直属の騎士団であるナイト・オブ・ラウンズに抜擢されたこと。今までに有り得なかったその起用は、間違いなくあの騒動がその一端だった。
ブリタニア皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアは力ある者を厚遇し、力なき者を差別する――。それは今までの皇帝演説からもわかることだったが、それが顕著に表れた事柄でもあった。
枢木スザクはあのエリア11の混乱をたった一機のKMFで治めた。総督であった第二皇女コーネリアを助け、反旗を翻した黒の騎士団――それを統率していたゼロを撃つというその手で。第七世代KMFランスロットで戦場を駆ける彼は、ほかのKMFを寄せ付けなかった。スピード、パワー、動きの的確さ、繊細さ――どれをとっても、ランスロットと枢木スザクに勝る人物がいなかったのである。
今のところ、彼とランスロットに土をつけた人物はいない。ナイト・オブ・ラウンズの面々なら……と言われているが、ラウンズ同士の決闘は禁止されている。いや、正確には禁止されているのではない。ラウンズの面々が本気でぶつかったら、宮ひとつ――下手をしたら街ひとつなくなってしまうかもしれない。そんな危惧ゆえの、本人たちの自重からくる制限だと言う方が正しい。
弱肉強食。まさにそのままの世界だ。実力だけが物を言い、力なき者は谷底へ蹴落とされる。ラウンズの中でも最強を誇るナイト・オブ・ワンを目指し、誰もが腕を磨き虎視眈々とその地位を狙っている。
そして、枢木スザクも例外ではなかった。彼もまた、ナイト・オブ・ワンを目指し、その手を血に染めている。
ブリタニアに尽くすのは、失ってしまった、喪われてしまった心優しい姫の想いに酬いるため。ブリタニアを内部から変える……そんな甘い思想は、もう持っていない。だが、その希望を捨て、すべてを諦めた訳ではない。自分の行動が巡り巡って内部改革の切欠になればいい。現にブリタニアは変わりつつある。スザクをナイト・オブ・ラウンズとして受け入れ、そしてスザクの傍らに『彼女』を置いたことで。
だから今は――。
「……イエス、マイ・マジェスティ」
皇帝に膝をつき、スザクはその命に従う。
たとえそれが、誰かを欺く事になったとしても。
*
「ねえルルちゃん、次はこんな祭りにしようと思うんだけどど~お?」
アッシュフォード学園、生徒会室。黙々と目の前の書類に向かっているルルーシュの横――テーブルの上に行儀悪く足を組んで座り、ミレイが一枚の紙を差し出してきた。
目の前に出されたために見ないわけにもいかず、ルルーシュはそれをちらりと見遣る。紙いっぱいに書かれているのはお菓子のレシピだろうか。小麦粉、生クリーム、砂糖、……エトセトラ。だがそこに書き加えられた文字が何やら不穏だ。……パイ投げならぬケーキ投げ? ってそれはもしかして、いやもしかしなくてもアレか。
「却下です」
簡素な一言でダメ出しをすると、ミレイは口を尖らせる。
「なんでよー。いいじゃない、パイ投げ。ってかケーキ投げ。一度やってみたかったの」
「食べ物を粗末にしてまでする企画じゃないでしょう。だいたい、そんなことをしたら清掃の代金だって馬鹿にならない」
「下に落とさないでキャッチするように! って決めておくとか」
「普通投げられたら避けるでしょう。じゃなきゃ服が汚れる」
「水着に決まってるじゃな~い。もしくは体操着? どっちが萌える?」
「……妙な漢字に聞こえましたが俺はどっちも嫌です」
「なによぅ、ルルーシュ。あんたクリームだらけになるのがそんなに嫌なわけ? 運動神経ないもんねぇ」
「……。俺の運動神経は人並みです人聞きの悪いこと言わないで下さい。俺が嫌なのは後処理と生徒会予算の増大です」
「ふ~ん?」
ミレイの訝しげに細められた瞳がルルーシュを見つめてくる。はあ~、と大きなため息をつくと、ルルーシュは仕方なくペンをテーブルに置いた。
「その美貌が生クリームだらけになってもいいんですか。もったいない」
もったいない、はもちろん生クリームが、の意味だった。だがミレイの美貌が生クリームで損なわれてしまうのがもったいない……と思わせるような口ぶりと微笑でそう告げる。滅多に言わない褒め言葉にミレイが食いついてくれるのを祈っていたのだが、いかんせん相手が悪かった。
「あら大歓迎よ! クリームだらけになったらルルちゃん舐めてくれる?」
「…………」
ダメだこの人には何を言っても聞かない。
「そんなことに気を回すより、今月末の試験に集中したほうがいいんじゃないですか。また留年しますよ」
ルルーシュが呆れも込めそう言うと、ミレイは更に口を尖らせたようだった。
「ずるいわよね。どうしてあんなにサボって好き勝手してたルルーシュが留年しないで何で私だけ留年なのよ。あー差別ー」
「俺はやることはちゃんとやってましたので。というか、卒業試験を受けなかった会長が悪いんだと思いますが」
「だって仕方ないじゃない。ごたごたしてたんだしさー……」
ミレイが遠くを見るしぐさをする。
確かに、そうだった。ミレイが卒業試験を控えていたあの頃、黒の騎士団と全国のレジスタンスたちが一斉蜂起したあの事件が起こり、婚約者であるロイドと彼女は何だかもめていた。
ルルーシュは彼女とあの婚約者の間に何があったのか知らない。知る権利もないので聞いたりもしない。ただ、それに重なってニーナが本国に戻ってしまったり、カレンが行方不明になったり、エリア11自体も総督が変わり体制が変わり……とにかく彼女だけでなく学園全体が慌しかった。
彼女は卒業試験を受けなかったのではなく、受けられなかったのだ。
「……すみません。わかってます」
呟くと、ミレイは静かに視線をルルーシュに移し、笑みをこぼした。
「うん、じゃあ、お祭り決定ってことで」
「それとこれとは!」
「だーめーでーすー。っていうかさー、実はもうロロに買出し頼んじゃってるんだよねー」
「はあ!?」
突然弟の名前が出て、ルルーシュは目を見開いた。
「まさか一人で……」
「まっさかあ。リヴァルもくっつけてあげたわよ。最近ルルーシュがロロを連れてチェスに行くから、リヴァルの奴しょげちゃっててね。だからロロと買い物ーって言ったらやたらはりきってたわ」
あはは、と笑うミレイに、ルルーシュは大きなため息をつく。
「……それは、ロロが行きたいって言うからですよ。あいつもバイク使っていいって言ってたし」
「でもリヴァルは寂しかったのよ。ルルーシュが構ってあげないから」
「構って、って。犬ですか」
ふふ、と笑ったその後で、ミレイがふと声音を落とした。
「犬かぁ……。犬といえば、スザク、今頃何やってんのかしらね……」
「犬であいつを連想するのはどうかと思いますが。…………きっと、戦ってますよ」
ルルーシュの答えに、ミレイは頷かなかった。けれど否定もしなかった。
スザクはきっと、戦っている。それは間違いない。
ブリタニアという国家と。国是と。そして己の位置を確立するため、各地で戦い続けている。その身を危険にさらして。
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