2007'08.19.Sun
あれ、甘いにおいがする。
スザクがそう言って首を傾げた。
昼休みの生徒会室だ。さっきまでルルーシュといたミレイは、スザクと入れ違いで放送室へと走って行った。今日はカレンとシャーリーが放送当番だったのだが、カレンは休みだったが大丈夫かと何気なく訊ねたら、彼女にしては珍しく慌てて。
「なんだお前、昼食べてないのか」
言外に腹が減ってるんだろうと問えば、スザクはふるふると首を振る。
「食べたよ、ちゃんと。軍の食堂で食べてから来ました。じゃなくて、もっと、なんていうか……」
「あぁ、そういえばさっき会長がクッキー持ってきてたけど」
「うーん、そうじゃなくて……」
しばらくきょろきょろと辺りを見回していたスザクの視線がルルーシュにとまった。
「ルルーシュじゃない?」
「はぁ?」
「だってそっちからする」
「俺は何も食べ物なんか持ってないぞ」
「食べ物じゃなくて」
たぶんそうだって、と言いながらスザクが近づいてくる。
椅子に座ったまま訝しげにスザクを見上げたルルーシュの顎に、彼の指がかかる。つい、と持ち上げられて。
「おい、スザク……」
「んー」
「んー、じゃない、おまえ……っ」
触れる寸前まで近づけられた顔に、こんなところで何をする気だとルルーシュが身を引きかけた、そのとき。
「あ、やっぱりそうだった。ルルーシュ、唇、なにかつけた?」
「………………あ……」
そういえば。
さっき、ミレイが。
「会長に、無理矢理リップクリームをつけられた……、が、」
「あー、それだ。香りつきだったんだ」
ルルーシュは思わず嘆息した。
確かに、少し甘い果物の香りがしていたけれど……あの距離でわかるのか? 普通。
「お前は犬か? どんな嗅覚してるんだ」
「おいしそうな匂いだったからね」
にこりと微笑って、スザクがもう一度ルルーシュの顎をに指をかけ上向かせた。
何かを考える隙もなく、ちゅ、と唇を吸われる。
「~~~ッ!?」
「ん、甘い」
「あっ……甘いわけあるか! 馬鹿が!」
咄嗟に周りに視線を走らせたルルーシュにスザクが更に顔を近づけてくる。
いい加減にしろ、と押しのけようとしたら、今度は耳元で。
「だってさ」
拗ねるように。
「会長さんのリップってことは間接キスじゃないか。ちょっと……、嫉妬」
スザクは低い声でそう告げて、すっと距離をとる。
嫉妬?
一連の行動を理解して、思わず頬が緩んでしまった。
馬鹿だな、と呟いたら、背を向けたままのスザクからはどうせ馬鹿ですよと返ってきた。
拗ねてる背中がおかしくて、……と同時に愛しくて。
テーブルについた彼の手に触れて、そっと握りしめる。
「もっと妬けよ。俺は嬉しいから」
「…………」
「俺の、何もかも奪いたくなるくらい、嫉妬しろ」
「君ねえ……」
はあー、とスザクが息をついて、ちらりと後ろに視線を流すと困ったような顔をした。
「嫉妬なんて、醜いよ」
「ふうん」
「きっと、君をめちゃくちゃにしたくなる」
「へえ」
「泣いて嫌だって言ってもやめてあげないくらい、ひどいことする」
「いいさ、それでも」
スザクが複雑そうに振り向いた。
「……冗談だと思ってるだろ」
「いや?」
ルルーシュは目を細める。
「それが本当のお前だろ。もっと見せろよ、俺に」
一瞬、スザクが動きを止めた。表情も僅かに凍り付いたように見える。
けれど、すぐにいつものように……スザクは肩を竦め表情を改めてしまう。
一瞬見せたあの表情は彼の『素』だ。本当はもっと――目の前の彼の、素を引き出してやりたいのに。
「だからって、変に挑発するのはナシ。ルルーシュは無防備だから本気で心配だ」
けれどなかなか上手くはいかない。でも、もしかしたら、そのきっかけはつかめたのかもしれない。
ニヤリと口端を上げて笑むと、ルルーシュは指先で己の唇をなぞった。
「無防備なつもりはないんだけどな」
本人に自覚があったらそれは無防備とは言わないんだよ、とスザクは笑って、ルルーシュの前の席に戻った。
*-*-*-*-*-*
何が書きたかったかは不明。ただなんとなく散文が書きたかった。
スザクがそう言って首を傾げた。
昼休みの生徒会室だ。さっきまでルルーシュといたミレイは、スザクと入れ違いで放送室へと走って行った。今日はカレンとシャーリーが放送当番だったのだが、カレンは休みだったが大丈夫かと何気なく訊ねたら、彼女にしては珍しく慌てて。
「なんだお前、昼食べてないのか」
言外に腹が減ってるんだろうと問えば、スザクはふるふると首を振る。
「食べたよ、ちゃんと。軍の食堂で食べてから来ました。じゃなくて、もっと、なんていうか……」
「あぁ、そういえばさっき会長がクッキー持ってきてたけど」
「うーん、そうじゃなくて……」
しばらくきょろきょろと辺りを見回していたスザクの視線がルルーシュにとまった。
「ルルーシュじゃない?」
「はぁ?」
「だってそっちからする」
「俺は何も食べ物なんか持ってないぞ」
「食べ物じゃなくて」
たぶんそうだって、と言いながらスザクが近づいてくる。
椅子に座ったまま訝しげにスザクを見上げたルルーシュの顎に、彼の指がかかる。つい、と持ち上げられて。
「おい、スザク……」
「んー」
「んー、じゃない、おまえ……っ」
触れる寸前まで近づけられた顔に、こんなところで何をする気だとルルーシュが身を引きかけた、そのとき。
「あ、やっぱりそうだった。ルルーシュ、唇、なにかつけた?」
「………………あ……」
そういえば。
さっき、ミレイが。
「会長に、無理矢理リップクリームをつけられた……、が、」
「あー、それだ。香りつきだったんだ」
ルルーシュは思わず嘆息した。
確かに、少し甘い果物の香りがしていたけれど……あの距離でわかるのか? 普通。
「お前は犬か? どんな嗅覚してるんだ」
「おいしそうな匂いだったからね」
にこりと微笑って、スザクがもう一度ルルーシュの顎をに指をかけ上向かせた。
何かを考える隙もなく、ちゅ、と唇を吸われる。
「~~~ッ!?」
「ん、甘い」
「あっ……甘いわけあるか! 馬鹿が!」
咄嗟に周りに視線を走らせたルルーシュにスザクが更に顔を近づけてくる。
いい加減にしろ、と押しのけようとしたら、今度は耳元で。
「だってさ」
拗ねるように。
「会長さんのリップってことは間接キスじゃないか。ちょっと……、嫉妬」
スザクは低い声でそう告げて、すっと距離をとる。
嫉妬?
一連の行動を理解して、思わず頬が緩んでしまった。
馬鹿だな、と呟いたら、背を向けたままのスザクからはどうせ馬鹿ですよと返ってきた。
拗ねてる背中がおかしくて、……と同時に愛しくて。
テーブルについた彼の手に触れて、そっと握りしめる。
「もっと妬けよ。俺は嬉しいから」
「…………」
「俺の、何もかも奪いたくなるくらい、嫉妬しろ」
「君ねえ……」
はあー、とスザクが息をついて、ちらりと後ろに視線を流すと困ったような顔をした。
「嫉妬なんて、醜いよ」
「ふうん」
「きっと、君をめちゃくちゃにしたくなる」
「へえ」
「泣いて嫌だって言ってもやめてあげないくらい、ひどいことする」
「いいさ、それでも」
スザクが複雑そうに振り向いた。
「……冗談だと思ってるだろ」
「いや?」
ルルーシュは目を細める。
「それが本当のお前だろ。もっと見せろよ、俺に」
一瞬、スザクが動きを止めた。表情も僅かに凍り付いたように見える。
けれど、すぐにいつものように……スザクは肩を竦め表情を改めてしまう。
一瞬見せたあの表情は彼の『素』だ。本当はもっと――目の前の彼の、素を引き出してやりたいのに。
「だからって、変に挑発するのはナシ。ルルーシュは無防備だから本気で心配だ」
けれどなかなか上手くはいかない。でも、もしかしたら、そのきっかけはつかめたのかもしれない。
ニヤリと口端を上げて笑むと、ルルーシュは指先で己の唇をなぞった。
「無防備なつもりはないんだけどな」
本人に自覚があったらそれは無防備とは言わないんだよ、とスザクは笑って、ルルーシュの前の席に戻った。
*-*-*-*-*-*
何が書きたかったかは不明。ただなんとなく散文が書きたかった。
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