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sakura*blog PMstyle

咲良の徒然気まま日記。 ゲームやらアニメやら漫画やらの感想考察などをつらつらと。 しばらくは、更新のお知らせなどもここで。

2025'03.10.Mon
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2007'03.29.Thu
 『おはよう』と『おやすみ』、それからその間の二人だけの時間。
 決まったようにキラと唇を合わせるようになって、気付いてしまったことがある。
「? なに?」
「……いや、べつに」
 ソファに懐きながらテレビを見ている彼に曖昧な答えを返すと、キラの瞳が自分に固定されて動かなくなった。じいっと見つめられる、それはキラの誘いだ。
 小さく笑い、顔を寄せる。
 ただ触れ合わせただけのキスは、それだけで身体の芯に熱を生み出す。
 それが何なのか、アスランは気付き始めていた。
「アスラン、甘い香りがする」
「え?」
「なんだろう、……」
 くん、と犬のように鼻を鳴らして、キラがもう一度顔を近づけてきた。
 そのまま、再び唇を重ねかけて、アスランは動きを止めた。
「キラ」
「ん?」
「少し……くち、あけて」
 え? とキラが目を瞬かせる。わかっていないのか、それともとぼけているのか。
 キラといると、つい癖で口うるさい幼馴染になってしまって、こんな関係になってからもそれはあまり変わらなくて――ただ、口だけで言う挨拶に軽いキスが加わった、ただそれだけで。
 けれど、今のこの状態で、自分は満足できずにいる。
「……っ」
 キラが息を呑む。アスランの腕に添えられていた手に、ぎゅっと力がこもった。
 中心に絡まる熱が更に上昇して、鼓動も早くなる。じわじわと競りあがる衝動。
 それが、何なのか。
 自分は気付いてしまった。
「ん、……」
 ちゅ、と最後に上唇を吸い、キラを解放する。
 潤んだ瞳に、上気した頬。無防備に自分を見つめる、キラの姿が目の前にある。
 アスランは一瞬呼吸を止めた。
 どきっと跳ねた己の心臓と、むくむくと沸きあがってきた欲望。
(――確定)
 やはりそうかと、正直な自分の身体に肩を落としたくなる。自分とキラの間にソファがあってよかったと、そんなことを考えて更にがっくりした。
 内心でそんなことを考えつつ、真っ赤なまま固まっているキラの頭を撫でて、目線を合わせるために屈みこむ。半分は、もちろん、……情けないが、隠匿のためだ。
「キラ?」
 いきなりすぎたか。少しだけ心配になり、顔を覗き込むと、キラの目がぱちぱちと何度も瞬きして、そして。
「あ、わかった」
 そんな風に呟いた。
「なにが?」
「この香り。僕が買っておいたさくらんぼ紅茶飲んだでしょ」
「あ。ああ、そういえば」
「そっか、だからか」
 謎が解けてにこにこと笑顔になったキラにほっとする。
(というか、本当に、こいつは)
 天然なのか計算なのかわからない。……と言いたいところだが、長年の付き合いで天然だとわかってしまっている自分が恨めしい。
 この様子では、どんなにアスランがそれらしい行動をしても、キラには伝わらない気がするのだ。
(知らないなら、知らなくていいんだけどね)
 知らないからこそ、きっとキラは『色気』のテーマを嫌がるのだ。逃げ回って逃げ回って、引き受けたとしてもまだまだまだという感じだ。そんな現状だからこそ、知ってしまったらと考えると、少し怖い。
「アスラン、あのさ」
 立ち上がろうとしたアスランを引き止めるように、キラがソファから身を乗り出す。
「もしかして紅茶? キラも欲しい?」
「あ、うん、欲しい。ってそうじゃなくて」
「なに?」
 唇を湿らせるように舐めてから、キラが口を開いた。
「好きだよ」
「―――」
 不意打ちだった。
 ひょいっと足元を掬われたような気がする。
 まったく、もう、本当に。
「……俺もだよ」
 微笑みながらそう返すと、キラは嬉しそうに笑って、くるりとアスランに背を向けた。



*-*-*-*-*-*-*-*-*


時間が戻ってます。無配の前のお話。なんとなく、キラに振り回されてるアスランが書きたくて(笑)

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