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咲良の徒然気まま日記。 ゲームやらアニメやら漫画やらの感想考察などをつらつらと。 しばらくは、更新のお知らせなどもここで。

2024'05.18.Sat
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2009'06.29.Mon
あてんしょんぷりーず!!!

ジノスザです。ジノスザですよ。何を血迷ったかジノスザですよ。スザルル前提ですが、でもがっつりジノスザです。ちゅーもしていませんがジノスザです。大事だから何度も言います(笑)

いやー、年の差の次はジノスザですよ。つーか、ジノスザにも結構萌えるんだよな、私。もちろんスザルル前提なんですが!これは譲れないんですが!ジノ→スザ→ルルです基本的に。

そんなジノスザですが、「だいじょうぶ!」という方だけご覧下さい!
閲覧後の苦情は受け付けませんので自己防衛をお願いしますっ!!


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 感情と行動が伴わねば、自分たちが行うそれは意味のあるものにはならないのだろう。わかっていながら、スザクは彼を受け入れた。突き放すことも手ひどく拒絶することもできたのに、それをしなかったのは自分の弱さだ。
「な~に難しい顔してるんだ?」
「……別に。暑い、ジノ。離れて」
「ん?空調下げるか?」
「……」
 最初から、彼には惹かれていたのだろうと思う。ナンバーズであるスザクがラウンズになるのは異例中の異例であるというのに余計な詮索をしようとはせず、まるで旧友であるかのように接してきた彼に。
 彼の屈託のない笑顔がまぶしかった。スザクが捨ててきた何もかもをジノは持っていた。他人を信じる心も、守りたいと思う大切な仲間も、くるくると変わる素直な表情も。
 裏切られたことなどないのだろうと思えば暗い気持ちが胸中を占め、醜い自分を覆い隠したくて無表情、無関心を決め込んだ。だがそれさえも彼の興味を増幅させるだけで何の効果もなく、彼はずっと、最初から、スザクのことを見放さずにいる。
「……馬鹿だなぁ」
 思わず呟けば、ジノは意味がわからないというように首をかしげたようだった。
「何が?いや、誰が?」
 ジノの問いかけには答えず目の前の書類にペンを走らせる。答えがないことに拗ねたのか、それともただ単にただ見ているだけに飽きたのか、ジノが少し体重をかけてくる。
「スザク」
「重い」
「なあ、スザクー」
「なに」
 そっけなく返せば、少しだけ腕が緩む。そのまま離れてくれればいいのにと思ったが、肩口にあった顔が頭上へ移動しただけだった。
 ジノがこうしてスザクの自室にやってくるようになったのは最近のことだ。別に制限していたわけではないが、スザクはこの部屋でジノと会うのが好きではない。何故、と言われれば答えはひとつだった。この部屋に来る時のジノは、明確な目的を持っているから。
「この報告書、明日までに提出なんだ」
 その声に別の意味を込めて、スザクは溜息と共に言葉を吐き出す。
 ジノが何か言いたそうに口を開く気配。
「だから。待ってても、今日はやらないよ」
 彼が言葉を発する前にスザクは釘を刺した。
 頭の上で彼が不満そうに唸ったが、スザクは微かに目を伏せただけで振り向きはしなかった。
「今日は気分じゃない?」
「……君、今の僕の言葉聞いてた?」
 まったく通じていない彼の返答に呆れたようにそう返したが、ジノがそんな風に問いかけてくることの意味もスザクにはわかっている。報告書などただの言い訳だろうと、彼は気付いているのだ。
 ジノと触れ合うことは嫌いじゃない。だが、それが自分の望んでいるものかと問われれば即座に首を横に振る。ジノがもう少し、いい加減な人だったなら良かった。スザクのことなど考えもしない人なら。
「仕方ない、じゃあ私はその報告書が終わるまでベッドを借りることにしよう」
「はあ?」
 スザクの戸惑いなどお構いなしで、ジノはそう宣言して腕を離す。重みのなくなった頭と肩から熱が消える。
 全くもって意味不明の言動にとうとう振り返ると、まだその場から離れていなかったジノが、ひょいと身をかがめてきた。
「―――…、」
 触れる寸前で、手のひらで彼の顔を押し返す。冷たく睨み返せば、ジノは微かに目を細めた。
「……それは嫌だって言っただろ」
「ん、やっぱり?」
 首を竦めあっさり身を引いたジノは宣言通りにスザクのベッドへ潜り込むつもりらしかった。ベッドに腰掛けブーツを脱いでいる彼を見て、スザクは嘆息する。
 ジノは、躊躇いなくスザクを求める。最初はただの戯れだったはずの触れ合いが、いつの間にか行為に発展してしまったのは誤算だった。苛立ちの捌け口が欲しかった。燻る感情を持て余していた。ずっと前は『彼』に向いていたその衝動が今も失われていないと知って絶望した。『彼』を忘れたかった、何も考えたくなかった、ただ真っ白に、真っ黒に、塗りつぶされたかった。無に、なりたかった。
 利用、しているだけなのだ。自分は。ジノを。
「……。ジノ、」
 先程キスを拒んだ時のまま冷えた瞳で見つめると、ジノはゆっくりとベッドに横たわって、微笑った。
「あのさあ、スザクは私がここに来るとどうしてもそっちに結び付けたくなるみたいだけど。幾らなんでもそれは酷いと思うよ」
「そういう台詞を言うのは今までの行動を振り返ってからに、」
「たまにはただ一緒にいるのもいいだろって言う話」
 言いかけた文句は喉の奥で止まった。ジノは先程の微笑みを浮かべたまま頬杖をついている。
「最近また眠れなくなってるみたいだし、一緒に寝るだけでも私は満足だし。私のことは、ほら、抱き枕だと思ってさ」
 馬鹿じゃないのか。唇の中でもう一度呟いて、スザクは顔を歪めた。
 ジノは優しい。スザクの闇を知りながら、それを暴かず包み込んで受け止めようとする。スザクが他の誰かを想っていると知っているのに、何でもないことのようにスザクと肌を合わせる。気持ちなどまったくないと、知っているくせに、こうやってスザクのことばかり。
「……そんなでかくてごつい抱き枕、いらないよ」
 ラウンズになってから、疲れきって強制的に眠りに落とされなければ、一睡もできない夜があった。いつの間にか、そんな夜にはジノが隣にいて、スザクの思考を焼き切ってくれるようになった。
 眠りが浅く睡眠不足が続き酷い顔をしていると、何も言わずソファで肩を貸してくれることもあった。……彼がいると、安心する。その事実は、スザクにとって恐怖でしかない。
「ひっどいなー。じゃあ、私がスザクを抱き枕にするからいいよ」
 彼がこの関係をどう思っているのかわからない。けれどスザクとジノの向け合う感情は決してイコールにならない。繋がらない。合わさることはない。一方通行ではないけれど、向かっている想いの種類がまったく違うから。
 結局、ここまでされてもスザクはジノのことを信じることは出来ないのだ。他人を信じる心はあの時『彼』に砕かれたまま戻らない。隣にいることはできるだろう。力を合わせることも、仲間と認識し助け合うことも、こうして会話し肌を触れ合わせることもできるだろう。その時だけの一過性の熱は生まれる。けれど。
「……本当に、馬鹿だね、君は」
 不意に、表情が緩んだ。それは僅かな変化だったけれども、ジノは敏感にそれを感じ取ったようでいつものようにニカッと、太陽のように笑う。
 声をあげて笑うことも、泣くことも、悔しさで叫ぶことも、忘れてしまった。感情の乏しいスザクには、ジノの笑顔はまぶしすぎて苦しい。
「ジノ。転がるなら制服脱ぎなよ。皺になるから」
「……!あ、そっか。そうだな!よし、脱ぐぞ!転がるぞ!」
 スザクからお許しが出たのだとわかったのか、ジノがぴょんっと飛び起きた。その顔はさっきよりも更に笑顔になっていて苦笑してしまう。ぱたぱたと忙しなく振られるふさふさの尻尾が見える気さえする。
 ふっと肩の力を抜いて再びデスクに向き直ると、スザクは報告書を書いていた羽ペンを見つめ、そっと目を閉じた。
 ――脳裏に描いた桃色の姫が、何故か泣きそうな顔をしている気がして、少し胸が痛かった。
  


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