2008'02.28.Thu
眠る彼の横顔に、情けないほど感情が漣立った。
まだ思い出にするには近すぎる、数々の記憶。触れて、笑い合って、キスをして、抱き合って、……そして。
誰よりも何よりも大事だったはずだった。守りたいと思った。彼も、彼女も、みんな幸せになれたらいいと思っていた。その中に自分がいなくてもいいと、確かにあのときはそう考えていた。
たぶんそれは彼も同じで――悲しいことに、彼の思考に彼自身が含まれていないことまで同じで――取り返しのつかない世界に、何故、と慟哭するばかりで。
(卑しいな、僕は)
望まぬ世界に終止符をうとうとしたくせに。なのにその結末を認められず、こうして偽りの中で生きている。……生かしている。
(君は、きっとこんな世界を望まない)
ただぬるま湯に浸かっているような現状を、許すはずがない。
(それでも)
そっと、スザクは眠るルルーシュに顔を寄せた。額にかかる前髪を撫で、ぴくりとも動かぬ睫を確認してから静かに唇を重ねる。
(……それでも、僕は)
規則正しい寝息。警戒心の強い彼が、こうして隙を見せるのは『幼なじみ』であり『親友』の『枢木スザク』に対してだけだ。……なんて酷い欺瞞。烏滸がましい優越。
(君が、生きていてくれたら、それで)
魔女はスザクのその感情を究極の愛だなと茶化した。そんなきれいな感情じゃない。そう返した自分に、彼女は不思議な言葉を投げた。
――あぁ、そうか。同じことをしたんだな、おまえたちは。言葉にしなければ伝わることもない。道は繋がっているはずなのに出会うことのない一方通行。おまえたちは愚かで哀しい……だがそれを愛しいと思う私も愚かなんだろうな。
その真意は、スザクにはわからなかった。彼女の言葉はいつも不可思議で、捉えようのないものばかりだ。ルルーシュならそれを受けとり意味を見出だすのだろうが。
(……愛、か)
もっと触れたくなる衝動を抑え込み、スザクは目を細める。
そう、たぶん、スザクの想いは愛に近い。恋だなんて、そんな優しく甘やかなものではない。以前は自分の想いを定義することができず、彼を抱いても言葉にしたことがなかったけれど。
(……好きだよ)
今なら言える。言える、のに。
音を立てないように布団に潜り、枕に顔を伏せる。伝えられない言葉はスザクの中を巡って身体中を侵し、増幅する。すべてが自分の手にあったあの頃より今の方が想いが強いだなんて本当にどうしようもない。
(君の口から、聞きたかったな)
好き、とたった二文字。スザクも言わなかったが、彼からも聞いたことがなかった。同じ想いでいてくれたと思うのは、自惚れでしかないのだけれど。でも考えてしまう。お互いに伝え合えたら、もっと本音で話し合えたら、……こんな結末にはなっていなかったのだろうか、と。
---------
突然すみません。『smile~』のスザク。
携帯より突発SSでした(>_<)←何もできなくて欲求不満らしい…
あとで加筆修正します;
まだ思い出にするには近すぎる、数々の記憶。触れて、笑い合って、キスをして、抱き合って、……そして。
誰よりも何よりも大事だったはずだった。守りたいと思った。彼も、彼女も、みんな幸せになれたらいいと思っていた。その中に自分がいなくてもいいと、確かにあのときはそう考えていた。
たぶんそれは彼も同じで――悲しいことに、彼の思考に彼自身が含まれていないことまで同じで――取り返しのつかない世界に、何故、と慟哭するばかりで。
(卑しいな、僕は)
望まぬ世界に終止符をうとうとしたくせに。なのにその結末を認められず、こうして偽りの中で生きている。……生かしている。
(君は、きっとこんな世界を望まない)
ただぬるま湯に浸かっているような現状を、許すはずがない。
(それでも)
そっと、スザクは眠るルルーシュに顔を寄せた。額にかかる前髪を撫で、ぴくりとも動かぬ睫を確認してから静かに唇を重ねる。
(……それでも、僕は)
規則正しい寝息。警戒心の強い彼が、こうして隙を見せるのは『幼なじみ』であり『親友』の『枢木スザク』に対してだけだ。……なんて酷い欺瞞。烏滸がましい優越。
(君が、生きていてくれたら、それで)
魔女はスザクのその感情を究極の愛だなと茶化した。そんなきれいな感情じゃない。そう返した自分に、彼女は不思議な言葉を投げた。
――あぁ、そうか。同じことをしたんだな、おまえたちは。言葉にしなければ伝わることもない。道は繋がっているはずなのに出会うことのない一方通行。おまえたちは愚かで哀しい……だがそれを愛しいと思う私も愚かなんだろうな。
その真意は、スザクにはわからなかった。彼女の言葉はいつも不可思議で、捉えようのないものばかりだ。ルルーシュならそれを受けとり意味を見出だすのだろうが。
(……愛、か)
もっと触れたくなる衝動を抑え込み、スザクは目を細める。
そう、たぶん、スザクの想いは愛に近い。恋だなんて、そんな優しく甘やかなものではない。以前は自分の想いを定義することができず、彼を抱いても言葉にしたことがなかったけれど。
(……好きだよ)
今なら言える。言える、のに。
音を立てないように布団に潜り、枕に顔を伏せる。伝えられない言葉はスザクの中を巡って身体中を侵し、増幅する。すべてが自分の手にあったあの頃より今の方が想いが強いだなんて本当にどうしようもない。
(君の口から、聞きたかったな)
好き、とたった二文字。スザクも言わなかったが、彼からも聞いたことがなかった。同じ想いでいてくれたと思うのは、自惚れでしかないのだけれど。でも考えてしまう。お互いに伝え合えたら、もっと本音で話し合えたら、……こんな結末にはなっていなかったのだろうか、と。
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突然すみません。『smile~』のスザク。
携帯より突発SSでした(>_<)←何もできなくて欲求不満らしい…
あとで加筆修正します;
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