2008'05.08.Thu
スザルル←ロロ話を書き始めています。更新はちょっと先になりそうなので、ブログでちまちま書けたところまであげていこうかなぁと…。
SCCで発行したペーパーのSSと繋がっています。書きあがったらちゃんとまとめてサイトに載せたいなー。いろいろ捏造しまくってます。なので、6話の前に書ききってしまいたい(笑)
SCCで発行したペーパーのSSと繋がっています。書きあがったらちゃんとまとめてサイトに載せたいなー。いろいろ捏造しまくってます。なので、6話の前に書ききってしまいたい(笑)
*-*-*-*-*-*
朝日がまぶしい――。窓から差し込むその光に目を細め、強すぎる光を遮るように手のひらをかざす。クローゼットからシャツを取り出して羽織り、のろのろとボタンを留めていると扉がコンコンとノックされた。
「……兄さん?」
控えめな呼びかけに振り返り、起きてるよと答え返す。そうっと開けられた扉の向こうには、すでにアッシュフォードの黒い制服を着込んだ『弟』がいた。中には入ってこないまま、ルルーシュの様子を見てロロが眉をくもらせる。
「もしかして、具合、悪い?」
「いや? どうして」
ルルーシュは目を合わせずにそう答えた。袖口のボタンを留め、クローゼットから制服を取り出す。ちらりと時計を見やって、いつもより10分ほど遅いが朝食には支障ないなと頭の中でメニューと作業時間を計算した。
「なんとなく……かな」
「はは。大丈夫だよ。何ともない。今日はブレッドでいいか?」
「……うん」
この一年、ルルーシュはずっとこの弟のために朝食を用意し続けてきた。どんなに疲れていても、どんなに具合が悪くても。お前は育ち盛りなんだからと笑って、必ず一緒にテーブルについた。
だから今日も例外ではない、のだ。少しくらい身体がだるくても、下半身に言い様のない違和感が残っていようとも。……ロロ・ランペルージの兄であるルルーシュ・ランペルージなら、そうあらなければならない。
「顔色が悪い」
上着は着ないまま部屋を出ようとしたルルーシュに、すれ違いざまロロがそう呟いた。
廊下に出てしばらく歩いてから、ロロが歩くルルーシュの腕を軽く引いた。眉根を寄せたロロの表情にひとつため息をつく。
「何ともない」
「……昨日、枢木スザクが来ていたでしょう。まさかあの人のせいで」
「ロロ」
監視カメラの死角、盗聴器の仕掛けられた場所はルルーシュも把握している。ロロがスザクの名前を簡単に口にしたのも機情の連中には聞こえない、見えない位置だからだろう。だがそれはルルーシュにとってあまり触れて欲しくない事柄だった。
「立ち止まるなよ。不審に思われる」
部屋からダイニングまでの距離、通過するのにかかる時間、そういったものはすべてあちらに知られている。朝、ルルーシュとロロがどんな行動をするかも逐一記録されているようだし、いつもと違うことをして妙な疑いをもたれても困るのだ。
「ルルーシュ、」
「こら」
苦笑して、ルルーシュは立ち止まった。ここはもう、監視カメラに映る位置だ。
「……兄さん、だろう? ロロ」
ロロの唇に人差し指をあて、ふわりと優しい笑みを向けてそう諭す。
演技をしろ――そう告げるように。
ロロはきゅっと唇を引き結ぶと、悲しげに瞳を伏せる。だがそれも一瞬で、次に顔を上げたときには。
「兄さん。今日は僕も朝食手伝うから」
「ああ。ありがとう」
ルルーシュの目の前にあったのは、微笑む『弟』の顔だった。
ロロがああしてスザクを気にするのは今朝だけじゃない。枢木スザクがこの学園に来てからずっとだ。
彼の歓迎会が学園祭並みの盛大さで行われたあの日から。
『お兄さま? ナナリーです!』
屋上で行われた踏み絵さながらのナナリーとの電話。
最愛の妹が傷つくと分かっていながら、記憶のないふりをして返した言葉。
「……はじめまして、だと思うのですが……」
躊躇いがちに返したそれに、回線の向こうで妹は息を呑んだようだった。お兄さま、と小さく呟かれたそれが心を突き刺したが、ここで耐えなければすべてが無駄になる。
「この度はエリア11の総督就任とのこと、おめ……」
言葉が途切れる。
ガッ、と鈍い音がした。言いかけたルルーシュからスザクが携帯を取り上げたのだ。鬼のような形相で。
「……ッ」
呆然とするルルーシュに一瞥すらくれず、スザクが携帯を耳にあて背を向けた。
「すみません、枢木です。……はい。…………はい。……、」
ナナリー。スザクが小さく、彼女を呼んでいた。
ああ、泣かせてしまったのかもしれない。脳裏に映る彼女の顔がくしゃりと歪んで、どうして、とルルーシュを責めた。お兄さま、どうして。聞こえないはずの声がルルーシュを詰る。ナナリーのことを忘れてしまったのですか。ナナリーの傍に来てくださらないのですか。ナナリーを見捨てるのですか。お兄さま。
違うんだと叫びたかった。叶うならルルーシュを呼ぶ声に優しい言葉をかけてやりたかった。でもそれはできない……今はまだ。
一体どんな状況で彼女がブリタニアの中に戻り、更にエリア11の総督などになるのかルルーシュにはわかならい。だがこれはチャンスでもある。ブリタニアにいるのであれば近付くのも容易ではなかっただろう。だがナナリーはエリア11に、ルルーシュの手の届くところに来る。
いずれ取り戻す。だからそれまで――。
「ルルーシュ」
気付けば、通話を終えたスザクがこちらを見ていた。ルルーシュは憤慨した様子を作ってみせる。
「お前、自分から渡しておいて今のはないだろう。何をしたかったのか知らないが、せめて祝いの言葉くらい」
「ルルーシュ」
「何だよ。お前の目標はよくわかった。今の方が総督で、お前と親しいってこと、も……、っ」
言葉は続かない。一瞬にして詰められた間合いに後ずさる余裕もなく、気付いたら唇が重ねられていた。
見開いた目に映るのは、自分を見つめる緑色の瞳だ。何故、と呟こうとすると今度はぐっと後頭部を捕まえられ、深く口付けられて。
「…………」
それから、だ。彼が、自分を求めるようになったのは。
そして同時に、必要以上にルルーシュに近付くスザクを、ロロが気にするようになった。
朝日がまぶしい――。窓から差し込むその光に目を細め、強すぎる光を遮るように手のひらをかざす。クローゼットからシャツを取り出して羽織り、のろのろとボタンを留めていると扉がコンコンとノックされた。
「……兄さん?」
控えめな呼びかけに振り返り、起きてるよと答え返す。そうっと開けられた扉の向こうには、すでにアッシュフォードの黒い制服を着込んだ『弟』がいた。中には入ってこないまま、ルルーシュの様子を見てロロが眉をくもらせる。
「もしかして、具合、悪い?」
「いや? どうして」
ルルーシュは目を合わせずにそう答えた。袖口のボタンを留め、クローゼットから制服を取り出す。ちらりと時計を見やって、いつもより10分ほど遅いが朝食には支障ないなと頭の中でメニューと作業時間を計算した。
「なんとなく……かな」
「はは。大丈夫だよ。何ともない。今日はブレッドでいいか?」
「……うん」
この一年、ルルーシュはずっとこの弟のために朝食を用意し続けてきた。どんなに疲れていても、どんなに具合が悪くても。お前は育ち盛りなんだからと笑って、必ず一緒にテーブルについた。
だから今日も例外ではない、のだ。少しくらい身体がだるくても、下半身に言い様のない違和感が残っていようとも。……ロロ・ランペルージの兄であるルルーシュ・ランペルージなら、そうあらなければならない。
「顔色が悪い」
上着は着ないまま部屋を出ようとしたルルーシュに、すれ違いざまロロがそう呟いた。
廊下に出てしばらく歩いてから、ロロが歩くルルーシュの腕を軽く引いた。眉根を寄せたロロの表情にひとつため息をつく。
「何ともない」
「……昨日、枢木スザクが来ていたでしょう。まさかあの人のせいで」
「ロロ」
監視カメラの死角、盗聴器の仕掛けられた場所はルルーシュも把握している。ロロがスザクの名前を簡単に口にしたのも機情の連中には聞こえない、見えない位置だからだろう。だがそれはルルーシュにとってあまり触れて欲しくない事柄だった。
「立ち止まるなよ。不審に思われる」
部屋からダイニングまでの距離、通過するのにかかる時間、そういったものはすべてあちらに知られている。朝、ルルーシュとロロがどんな行動をするかも逐一記録されているようだし、いつもと違うことをして妙な疑いをもたれても困るのだ。
「ルルーシュ、」
「こら」
苦笑して、ルルーシュは立ち止まった。ここはもう、監視カメラに映る位置だ。
「……兄さん、だろう? ロロ」
ロロの唇に人差し指をあて、ふわりと優しい笑みを向けてそう諭す。
演技をしろ――そう告げるように。
ロロはきゅっと唇を引き結ぶと、悲しげに瞳を伏せる。だがそれも一瞬で、次に顔を上げたときには。
「兄さん。今日は僕も朝食手伝うから」
「ああ。ありがとう」
ルルーシュの目の前にあったのは、微笑む『弟』の顔だった。
ロロがああしてスザクを気にするのは今朝だけじゃない。枢木スザクがこの学園に来てからずっとだ。
彼の歓迎会が学園祭並みの盛大さで行われたあの日から。
『お兄さま? ナナリーです!』
屋上で行われた踏み絵さながらのナナリーとの電話。
最愛の妹が傷つくと分かっていながら、記憶のないふりをして返した言葉。
「……はじめまして、だと思うのですが……」
躊躇いがちに返したそれに、回線の向こうで妹は息を呑んだようだった。お兄さま、と小さく呟かれたそれが心を突き刺したが、ここで耐えなければすべてが無駄になる。
「この度はエリア11の総督就任とのこと、おめ……」
言葉が途切れる。
ガッ、と鈍い音がした。言いかけたルルーシュからスザクが携帯を取り上げたのだ。鬼のような形相で。
「……ッ」
呆然とするルルーシュに一瞥すらくれず、スザクが携帯を耳にあて背を向けた。
「すみません、枢木です。……はい。…………はい。……、」
ナナリー。スザクが小さく、彼女を呼んでいた。
ああ、泣かせてしまったのかもしれない。脳裏に映る彼女の顔がくしゃりと歪んで、どうして、とルルーシュを責めた。お兄さま、どうして。聞こえないはずの声がルルーシュを詰る。ナナリーのことを忘れてしまったのですか。ナナリーの傍に来てくださらないのですか。ナナリーを見捨てるのですか。お兄さま。
違うんだと叫びたかった。叶うならルルーシュを呼ぶ声に優しい言葉をかけてやりたかった。でもそれはできない……今はまだ。
一体どんな状況で彼女がブリタニアの中に戻り、更にエリア11の総督などになるのかルルーシュにはわかならい。だがこれはチャンスでもある。ブリタニアにいるのであれば近付くのも容易ではなかっただろう。だがナナリーはエリア11に、ルルーシュの手の届くところに来る。
いずれ取り戻す。だからそれまで――。
「ルルーシュ」
気付けば、通話を終えたスザクがこちらを見ていた。ルルーシュは憤慨した様子を作ってみせる。
「お前、自分から渡しておいて今のはないだろう。何をしたかったのか知らないが、せめて祝いの言葉くらい」
「ルルーシュ」
「何だよ。お前の目標はよくわかった。今の方が総督で、お前と親しいってこと、も……、っ」
言葉は続かない。一瞬にして詰められた間合いに後ずさる余裕もなく、気付いたら唇が重ねられていた。
見開いた目に映るのは、自分を見つめる緑色の瞳だ。何故、と呟こうとすると今度はぐっと後頭部を捕まえられ、深く口付けられて。
「…………」
それから、だ。彼が、自分を求めるようになったのは。
そして同時に、必要以上にルルーシュに近付くスザクを、ロロが気にするようになった。
タイトル:「恋したくなるお題」さまより
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